マジかよ!
「実は20歳から35歳までの間、俺もお前と同じように覚せい剤を使用していたことがある。」
小学校からの親友がいきなりカミングアウトしてきた。
言われてみれば、アイツ急に太ったり挙動がおかしかった様に感じる。
言えや。
言えんよな。
仲間たちが頑張っている中で自分だけが薬に依存しているなどと口が裂けても言えるはずがない。
25年間隠されていた計算になるのに、カミングアウトしてきたのはアイツなりの優しさかも知れない。
もしかしてまだやってるとか?
ありえるかも知れない。
自分のことで精一杯なときに他人のことなんか考えてられない。だけど心配になる。
いきなりの告白に、捕まらなくてよかったな。と、嫌味っぽいことしか言えない自分はなんなんだろう。
なんで、俺だけ…と思ってしまう
自分は本当に最低な人間だ。
刑務所内で受けた薬物依存改善プログラムの一環にある薬物使用する考えに至らない方法の一つに話を聞いて貰える人をなるべく多く作っておくというのがある。
洗いざらい事件のことや覚せい剤のことを話すと、少し気持ちが楽になった。
しんどいのは隠しているという後ろめたい気持ちがあるからと言うことだろうか。
成功して堂々と地元に戻ってきたのならまだしも、挫折して戻ってきた現実は厳しい。
刑務所に12年服役し、現在は会社を設立して生計を立てている知人は罪を償う為に刑務所に務めてきたのだから、恥ずかしいと感じる必要はないと言う。
この状況はどうあがいても変わり様もなく、受け入れるしか方法がない。
過去にこだわり過ぎている限り呪縛から逃れられない。
娑婆の空気は重く感じる。