前科2犯を背負い投げ

前科者になってしまった私の人生を綴っています。

人間のクズ

 まさか返信があるとは思わなかったので素直に嬉しかった。

 

 彼女の声、話し方、テンポ、昔と一切遜色なく懐かしいのと、申し訳ない気持ちがないまぜになりなんとも言えない思いで一杯だった。

 

 彼女に対して後ろめたい思いは、自分勝手に別れも告げず、彼女から逃げるように去ったことだけではない。

 

 彼女に薬を教えてしまったことだ。

 

 普通に生活し真面目に生きてきた彼女は、私に出会わなければ一生薬など使用することもなかっただろう。

 

 薬は止めたの?

 

 彼女の第一声はこの一言だった。

 

 逮捕されて執行猶予期間中に再犯を起こし、実刑判決が下され、約3年間刑務所に服役し、5日前に出所して地元に帰ってきたことを話す。

 

  金もなければ、仕事もなく、自分の全財産はダンボール2箱。薬をしたいと思わないが、何かしたいとも思わない。抜け殻状態になってしまったことを話した。

 

  私の一番良かった時のことを知っている彼女が、私の一番悪い状態を知ったことで、どのような接し方をしてくるのか興味深かった。

 

 すべて、包み隠さず正直に話したのは、このドン底の状況を知ってもらって藁にも縋る思いで彼女に縋りたかったからだ。

 

  彼女は独身で偶然にも1月に彼氏と別れたところだと言った。

 

 10数年もの時が一瞬にして戻った気分になった。

 

 私は自分勝手でロクでもない最低な人間だ。